前向きニュース (2011年6月5日)


『1勝』

ゲンを担いだ?
そう言われればそうかもしれない。
アンダーシャツを半袖にしてみた。
気候はこの前の試合と同じくらい、朝の練習は長袖のアンダーシャツだった、洗濯物増やすと怒られるからそのままでもよかったけど、変えたくなった。

戸田橋E面。
またレフト前ヒット、続いてセンター前ヒット。よく打つな~。
試合が始まって20分、まだ1回の表、相手の攻撃。既に7点取られた。
前回の惨敗が脳裏をかすめ、胸が痛くなる。
それでもマウンドのショウは、腐らず、怒らず、自分を奮い立たせながら投げ続けている。
成長したもんだ。ちゃんとキャプテンらしく、皆に声かけながら、あと1つのアウトを必死に取りに行っている。
この回14人目のバッターを三振にとり、やっと相手の攻撃が終わった。
10点取られた。

長い相手の攻撃を見ながら、先発はこれでよかったのか、後攻じゃなくて先行にすれば良かったかな、一回位打たせてから選手を替えようなんて甘い考えじゃだめかな、とか、いろいろ考えを巡らせつつ、自問自答していた。

それでも、負けるつもりはなかった。

円陣組みながら、「相手が10点取れるんだから、こっちも取るぞ!」自分を鼓舞するように声をかけた。

何かやってくれそうな期待感から先頭を任せたハルトが四球で塁に出た。
次はショウタ。
まだまだ守備に難があるが、少しづつうまくなってる。
打撃練習でいい当たりをしていたその打撃を期待して二番にした。

何とも中途半端な空振りの後、得意の右打ち、打球はライトの頭を越えた。ノーアウト1.2塁。
10点差に意気消沈していたベンチが活気づいた。
次はリョウタロー、期待は膨らんだ。

この回最低5点、半分返せばイケるんじゃないかと勝手に思っていた。
半袖の腕を触りながらサインを出す。
リョウタローはセカンドゴロに倒れたが、パスボールで2点入った。10-2。

ショウが四球を選んで盗塁、チャンスを広げて、ユウトヘ。

バッティング期待してるぞ、と言い続け、本人もその気になってきた。
その期待に答えて見事にライト前ヒット。
盛り上がって来た!

ショウゴのセカンドゴロの間に1点。
2アウトになったけど、更にトモヤがヒットで1点。この前までラッキーボーイだったトモヤは頼りになるバッターになってきた。

イケイケの中、盗塁、パスボールでまた1点、ついに半分の5点を返した。
イケる!

四球で出たタツマはサインも出してないのに3塁まで走って、パスボールで本塁まで戻って来た。(今日はまあいいとしよう)
これで10-6。

四球で出塁したリュウセイが盗塁し、判断よくパスボールで生還 。
10-7まで返した。

次の回からは、病み上がりとはいえ、頼りになるマサトが投げる。
勝てるイメージが浮かんだ。

マサトは期待に応えて次の回を0点に抑えた。
ベンチに戻って来た子供達は自信に満ちた顔をしてた。
自分達で円陣を組んで、大きな声を出して、ベンチも皆で応援して、チームのまとまりを感じさせる一体感が出てきた。

逆転を確信した。

ボールをよく見極め、パスボールを見逃さず、ショウゴのヒットもあってついに同点。
逆転のランナーショウゴは緊張の面持ちで3塁上に。
シウゴを呼んで注意を与え顔を見ると、白い。
「楽しんでるか?」「笑顔だ、笑顔」と言いながら頬を引っ張ると、笑った。

笑顔のショウゴが敵失の間にホームを踏んでついに逆転。10-11。
次の攻撃を抑えれば勝ちだ。

でも、そう簡単にはいかない。
こちらのまずいプレーもあって1点取られて同点。

しかし、この局面、裏の攻撃が有利。

最終回、先頭のマサトが四球で出て、盗塁。打席はショウタ。
何か打ちそうな雰囲気を醸し出している。
真ん中の球を迷わず振り抜いた打球はライトライン際に。
ボールがファウルグランドに転がる。
ちゃんとベース踏めよと思いながら、マサトが3塁、ホームと踏む姿を確認して、サヨナラ勝ち!

時間的は長い試合だったが、緊張感のある試合だった。
点はたくさん取られて、力不足もまだまだ感じる。
小さなプレーがもうひとつ。
あと一歩前へ、あと一歩速く動ければもっと強くなれる。

勝った試合の後のミーティング、子供達は浮かれることなく、その言葉を聞いていた。
あきらめず、チームが一体化するこの感覚を体験できたことは大きい。
次の試合にも繋げたい。

試合後のミーティングでサヨナラヒットのショウタが言った。
「今日は池谷監督を絶対勝たせたいと思った」
嬉しいけど、言葉使いが違うぞ。
それをいうなら「池谷監督のためにも今日は絶対勝ちたかった」だからな。

とにかく5年生のこのチームで1つ勝った。
嬉しかった。
次も半袖で行こう。

池谷